オートファジー(自食作用)

今年も日本人の科学者がノーベル賞を受賞しました。

 

すごいですね、ノーベル医学生理学賞だそうです。

 

今朝の新聞の記事を読んでいたら、興味深いなと思いました。

 

今回受賞が決まったオートファジー(自食作用)というのは、「細胞が自分自身を分解し、再利用するリサイクルシステム」のことで、栄養不足の酵母を観察する中で発見されたそうです(文系人間なので、知識の不足から科学的に変なこと書いてたらすみません)。

 

細胞のメンテナンスに深く関わる現象らしいのですが、このメンテナンスが『栄養不足』の状態時に起きるというところが面白い。飢餓状態になった時に、自分の中のタンパク質を分解して、栄養源として再利用していく。

 

何故わざわざ『栄養不足』の状態でそれが起きるのか?

 

理由は分かりませんが、どうやら生存が脅かされるような苦境を乗り切る手段(方法?)を細胞は元々持っているようです。

 

 

タンパク質の分解の仕組みは以下の4つ。

 

①まず「柿の種」のような形をした膜が出現

②その膜が成長し、タンパク質を取り囲んで球状に

③それが液胞内に取り込まれる

④液胞内で酵素によって分解される

『栄養不足』の状態で、自分自身で栄養を作り出す、というこの仕組み。

 

何だか、カウンセリングでやっていることと似ている気がします。

カウンセリングでは、辛い状況に陥った人とセッションを行っていくと、その人が持っている自分の力が発揮されるようになり、問題が治って(直って)いきます。この自分で治って(直って)いく力を自己治癒力と言ったりします。

 

細胞レベルでも似たようなことが起きているんだな、と。

 

もちろん、そのまんまカウンセリングに当てはめられるものではないですけど、

イメージとしては次のような感じかなと思いました。

 

悩みを解決したいと思った時、オートファジーで言うところの①『柿の種』が生じます。

 

「良くなりたい。解決をしたい」と思えば、誰でもまず何らかの行動をとろうとします。

人によってその動きは大きかったり、小さかったりするかもしれませんが、動きそのものは必ず起きます。

問題を自分の中で解決しようと動くわけですね。

 

しかし、そう思っても『柿の種』はなかなか②までいけない。

 

問題となっていることを包めない。

問題を解決するための基礎的な力が育ってこない。

だからしんどさから抜けられない。そして行き詰まる・・。

 

そして、そんな状態を援助するために、カウンセラーという立場の人が登場します。

「柿の種」の成長を見守って、支え、②を起こする存在。

 

そういう存在がいると、解決に向かう力も高まり、カウンセラーを信頼し、やがて②が起き、問題に向き合うところまでたどり着きます。

 

でも、まだここまでだと③は起きません。

 

オートファジーでは、球状になったタンパク質を液胞内まで運ぶ労力がかかりますが、カウンセリングでも問題を解決するためのお膳立てが必要です。

 

じゃあ、カウンセリングではこれは何になるのか?

 

答えはシンプルで、様々な心理療法の技法がその役割を担っているように思います。

 

②でその人の問題や症状を受け止めて、③で具体的な変化を起こすということになります。

つまり、『カウンセラーが存在して』⇒『適切な心理療法が行われる』ということですね。

 

そうすると、④が起きます。

 

ここまでたどり着くと、逆にカウンセラーは問題にタッチしません。

 

④では、その人が本来持っている、解決力が起動します。

困っていることも、それと共に分解されていきます。これがいわゆる自己治癒力的な力だと思います。

 

こんな風に見ていくと、細胞レベルで起きていることとカウンセリング場面で起きていることには、似たような関係があって、とても興味深く思えてきます。

 

ただ、逆の注意点もあって、例えば『がん』では、オートファジーの働きが腫瘍増殖のサポート役に回ってしまうことがあるようです。悪いものも増えてしまうんですね。

 

カウンセリングでも、問題を明らかにする過程で辛さにばかり焦点を当てていると、これが起きます。

相談に来られた方に不必要な傷つきを与えることになっていますので、常々気を付けなければ、と思います。

 

とは言え、『栄養不足』状態でも自分で何とかできる力が本来備わっているんだと思えたら、何だかちょっと希望の持てる話ですよね。

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コメント: 2
  • #1

    ねこ (日曜日, 09 10月 2016 19:32)

    しんどい時って、自分ではもうどうにもできない、助けて…ってなったり、治るのをあきらめてしまって、辛いのをむりに押し込めてしまったり、しょうがないなーってそのまま暮らしていたり。
    でも、どんなにしんどくて、もう自分ではなんにもできないって思っても、細胞レベルの見えないところでは自分で自分を立て直そうとしてるんですね。
    そう考えると、その力を無視しちゃいけないし、自分の力を信じて自分を大切にしていくことが大事だなーと思いました。
    やっぱり、最終的には自分を治せるのは自分なんですね。
    こういう部分に気づかせてくれるカウンセラーさんの存在は、やっぱり大切で必要だなーと思います。

  • #2

    心葉 (月曜日, 10 10月 2016 17:02)

    >ねこさん

    いつもありがとうございます。
    そうなんですよね、立ち直る力は誰もが持っているんですが、辛くなってくると忘れてしまうんですね。

    そういう時に、カウンセリングを受けると状況を変えることができます。

    多くの人のお役に立てればいいなと思っています。