臨床催眠(催眠療法)

皆さん、意外と(?)この話題に興味があるみたいで。

 

当オフィスのカウンセリングに来られる以前に、しばしば、

「○○セラピーの中でピプノセラピー(催眠療法)10回コースを受けました」とか、

「前世療法で本当の自分に出会うカウンセリングを受けたのですが・・」とか、

「グループ催眠療法を1年間受けました」とか、

色々と体験されている方というのは割と多くて。

 

そして、話を聞くと、ちょっと値段が高いことが多いようです。

(通常のカウンセリングですら保険適用外で実費なので、高い印象があるかと思いますが、

それと比べて高い気がします。奇跡が起きそうだと値段上がるんでしょうか・・)

 

では、何故、それを受けたのにも関わらず、心葉に来られるのか。

答えは色々ですが、共通するのは、的に当たるような効果がなかったから・・・。

 

と言ってもある程度改善していたり、全部が全部良くなかったというわけではないと思います。

カウンセラーさんも一生懸命やってくれたはずです。

 

なので、参考までにちょっとどんな催眠療法だったか聞いてみると、相談者さんの

ニーズとずれちゃった催眠療法だったり、カウンセラーの技量が未熟だったり、

そういうことが見え隠れします(催眠状態に入っていないのに、カウンセラーに

申し訳ないから入っているフリをして演技してました、とか聞くと、泣けます(泣))。

 

カウンセラーの技量が未熟という点については、自分への戒めにもなりますので、

そういう話を聞くと、自分も引き続き研鑽を積まないといけないと強く思いますし、

当たり前ですが、現在も定期的に臨床家の仲間内でトレーニングを繰り返しています。

(技術なので、経験を積むほど上達します。おそらく1年前の自分と比べても大分力は

伸びたと思います。それでもまだまだ上達していかないといけないと感じます)

 

残念ながら日本では、学会に所属し、トレーニング・研究をしながら臨床を

行っている方が非常に少ないようです。

 

とても歯がゆい思いをしているのですが、倫理観に劣る催眠術セラピー(?)を受けて、

効果がないならまだしも、悪化するケースも見聞きするので、悩ましいところです。

(倫理観に劣る、というのはどういうことかと言うと、ちょっと危なくて書けないのですが、

仮に臨床心理士・公認心理師がそのようなことをしたら、確実に資格剥奪です。)

 

ブログの記事の「辛くないカウンセリング」にもちょっと書きましたが、日本は

(話をゆっくり聴きます的な)傾聴スタイルに、無意識を探索する精神分析的な

理解を合わせた手法が、長い間(今も?)主流でした。

(そして、そこに留まり続けている業界の風潮も未だにあります)

 

海外では、まず基本として催眠療法を学び、その上で様々な心理療法(精神分析や

認知行動療法)を肉付けして、臨床家として成長していきます。

催眠状態は、何か特別な状態ということではなく、日々起きています(例えば、

怪我をして泣いている子どもに対して、母親が「痛いの痛いの~飛んでけ!」とやって、

子どもが泣き止むとか)。

カウンセリングの中でもいつもごく自然に催眠状態は発生しており、そこをちゃんと

捉えて臨床をするかどうかで、質がガラッと変ります(恥ずかしながら自分も、

催眠療法を学ぶ中でようやく分かってきたことですが)。

 

日本がいつかそうなるか、と言うと、それは無理でしょう。

教えられる先生・研究者がまず少ない。

50年後くらいには、この状況は変っているかもしれませんが・・(苦笑)。

 

臨床心理士がこんな感じなので、そうしているうちに公の資格のないカウンセラーが

○○スクールで手っ取り早く(?)、催眠の技術を学んで、医療・学校・福祉・司法領域

などの臨床経験を経ずに開業して、「○○催眠療法士です」とかになる。

 

これ、何とかせんといかんのだけどね・・。

 

もちろん、中にはしっかりとした仕事をされている人もいると思います。

催眠を車の運転で例えると、助手席に相談者様が座ってもらった状態で、運転手である

カウンセラーはアクセルを踏み込むことになりますが、安全に運転をするためには、

病態・状態を見立てるハンドリングや、倫理的・医療的判断でストップを

かけるためのブレーキを持っていることが大切です。

 

加速をして気持ちよく進むことが出来ても、カーブを曲がったり、障害物を

避けなければいけない時にそれができないと、どうなるか・・。

カウンセラーを信頼して、怪我をしてしまったら、元も子もありません。

 

こんな状況に対して個人で出来ることは限られていますが、早くもっと力をつけて、

反論されても跳ね返せるように、臨床を作っていくことで結果を出していく

しかないのでしょうね・・。

 

ともあれ、催眠状態を導く手法はとても大切です。

その人に上手く適用できれば、カウンセリングの効果を何倍にも上げます(改善のスピードが

早くなると言ってもいいと思います)。

 

毎週毎週小まめに来ていただかなくても、月に1回くらいで同じ程度かそれ以上

に改善することがあります。

 

テレビなどの催眠ショーを見て、面白くて興味はあるけれど、「操られる」「不安」

など良くないイメージも一般的にはあるかもしれませんが、安心していただきたいのは、

「したくないこと」は催眠療法の中では絶対に起きないということ。

(あくまでも、ドライブの行き先『ゴール・目標・目的地』を決めるのは、相談者様ですので)

 

テレビなどでは、芸能人が「したくないこと」をさせられると「ウケる」、という利益が

発生しますし、収録場面という安心感の基に自分がそのようになることへの楽しみと期待も

潜在的にはあるため、その状態では、「ワサビが抹茶アイスの味になる」「自分の名前が

分からなくなる」などの催眠状態が起きえます。

(催眠ショーとしては、とても面白いので、エンタテインメントならこれはこれで良いの

だろうと思います)

 

催眠療法は、その人が催眠状態に入りやすいか、また催眠の暗示に反応しやすいか

(催眠感受性・被暗示性と言います)、によって適用となるかどうか決まってきますので、

全員に適用されるものではありません。

 

また受け身でカウンセラーに任せていれば、夢のように改善する心理療法でもありません。

どちらかと言えば、相談者様の積極的な意欲や関わりが必要ですし、不可能を可能にする

技術でもありません(物理的な能力を超えたことは出来ませんし、先天的な障害が治る

こともありませんし、天才にもなれません)。

 

ただ、必要なタイミングに実施することで、とても効果的な結果が得られる手法です。

(例えば、クモが怖くていつも逃げていたけど見ていられるようになったり、緊張で

お腹が痛くなりがちだったけどそれが緩和したり、将来に対する迷いがあったけど覚悟が

決まったり、心理的に可能なことはあらゆる事が変化します)

 

催眠について、色々と聞かれることが多かったので、いくつか思うことを思いつくままに

書いてみました。

 

カウンセリングに来ていただいている方で質問したかった方や、通りすがりでも

ブログを見てくれた方の参考に、すこしでもなれば良いのですが・・。

 

(このブログ、ちょっと書きかけ感がするので、後日修正しようと思いますが、大体のことは書いているので公開します)

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コメント: 3
  • #1

    あずき (月曜日, 10 6月 2019 09:43)

    ちょうど、なんとなく眠れない時に、更新されているのを見つけました。言葉のトーンが優しくて、読み終わったら、すーーっと眠れました。ありがとうございます。
    心が弱っている時に、何処に行けば自分に適しているのか…判断が難しい。日常、ほんの少しですら、誰に本音をこぼしたら安全なのか、相手選びに迷うのに。
    適していない相手を頼ってしまうと、後々大変です。
    本当にしんどい時は、藁をもすがる思いだから、目に止まったモノが大丈夫かどうか、考えられる状態にない。
    そして、まだまだ、カウンセリングを受けていると言うと、偏見を持たれる事もあるので、大きな声で、助けを呼べない。
    「なんか調子悪いけど、どこのお医者さんが良いかな…」
    と、周囲に話すのと、同じ気軽さで、探せる様になるといいな…。
    カウンセリングという言葉が、人の心をつかみやすいので、安易に商売に使われているのも気になります。蓋を開ければ、ただのヒアリング…個人情報を聞き出すだけ…とかよくありますし。
    誠実さって、簡単に証明出来ないから、難しいとは思いますが、
    沢山勉強して真摯に取り組んでいる臨床心理士の方々に、どうかもっとお医者さん並みの社会的扱いがされる様になると良いです。




  • #2

    おまつりきんぎょ (月曜日, 10 6月 2019 22:20)

    先生にいつもお世話になっています。

    先生のブログ、陰ながらいつも読ませてもらっているのですが、今回はびっくりしたので思わずコメントさせてもらいます。

    催眠て、そういうものなんですね!(今までよくわからず受けていてすみません…)

    ただ、今回のブログの車の運転の例えを読んで、とてもしっくりきました。
    確かに、催眠をやってもらった後は、自分の思い描くイメージの方へ、自然に、気付いたら、寄って行っている感じです。

    先生にそういう風に治してもらっていると思っていたのですが、自分のこうでありたいっていうイメージもすごく大事なんですね。
    前に何かの本で読んだ、「自分を治すのは自分」て、こういうことなんでしょうか?

    ともあれ、やっぱり、しっかりトレーニングを積んで、いつも丁寧にカウンセリングをして下さる先生に、感謝です。
    心葉を選んだ自分に自信を持ちたいと思います。

  • #3

    光波 (火曜日, 11 6月 2019 17:06)

    いつも、お世話になっております。
    先生のブログ楽しみにしていますが、その反面…普段聞けないお話もあり、何といいますか大盤振る舞いの様な気がします。

    クライアント側には、セラピーには魔法の様な力があって、それに縋れば苦しみからすぐ解放されるのではないかという期待があることは否めません。

    よって即効性という対価を求める余り、より高額なカウンセリングを
    「多額のお金を払ったのだから、私は何もしなくてもプロの人が良きに計らえで何とかしてくれる」
    と受け身なまま受けてしまうという残念な実情があると思います。

    しかも、高額であるが故に“自分は良くなったんだ”と信じ込ませようという気持ちまで働いて事情は色々と複雑な気がします。

    それでも、やっぱりテレビ番組の催眠術の様にジャガイモをリンゴだと思えず、絶望して悪化の一途を辿ってしまう…。

    苦しんだり、悩んだりしているにも関わらず、クライアントの心の奥底で
    「実は、現状を維持したい」「問題を解決したいが、問題に関わりたくない」
    という気持ちが働いている限り、楽(ラク)して良くなる的(マト)に当たるまで堂々巡りしてゆきます。

    十把一絡げで書いてしまっていますが、これはクライアントが先生に対して目先で語る問題とは別に矛盾しながら存在している本質的な問題だと思います。

    クライアントがそんな状態では、先生が自分を戒めて日々研鑽を積み、どんなに適切な手法を選択しても無下にしてしまいます。



    『本当に自分は良くなりたいのか?』

    と自分に問いかけることがクライアントの課題だと思いました。