辛くないカウンセリング③

このテーマ、3回目です。

 

反響が大きく、皆さんの興味があるところなのだろうと思います。

 

個人的にも、ここは大切にしているところですし、カウンセリングで傷ついた経験を経て

心葉に来られる方もいて、そうすると最初はとても警戒されていたり。

 

何でこういうことが起きるのか、また少し頭の中で整理出来てきたこともあるので、

改めて書いてみます。

 

『辛くないカウンセリング』の過去のブログの記事を読み直してみて、言い足りてない

感じもあって、じっくり考えてみました。

 

で、分かったのは、『辛くないカウンセリング』に大切な要素は3つあって、

どうやらその1つしか書けていなかった・・。

 

どどーん。

 

繰り返しにはなりますが、その1つを簡単におさらいすると。

 

人の身体・脳は、『A:論理・理性的に物を考える大脳新皮質』、『B:感情を認識する大脳辺縁系』、『C:身体感覚や生理的な機能を司る脳幹~内臓』という3つの部分から成り立っています。

 

以下、A・B・Cとしますね。

で、悩みが深かったり、自分ではコントロール出来ないような何らかの症状が出ている時、C:身体感覚や生理的な機能を司る脳幹~内臓に反応が出ています。

 

身体が重かったり、やる気が出なかったり、不安が抑えられなかったり、食べ過ぎちゃったり、

いてもたってもいられなくなったり。

 

だから、何かや誰かに助けを求めたくなる。

 

そんな時、周りの人が、良かれと思って、A:論理・理性的に物を考える大脳新皮質に働きかける。

 

「○○すればいいんだよ」とか「気にしないように」とか「頑張れば出来る」みたいに言ってくれる。

 

でもね、『んなこたーわかっとるし!』ってなる。

理性や論理の脳はもう分かってる。

くよくよしたって何も変らないこと、十分理解してる。

 

そして、これはまだ良いんです。

助けてあげたい、援助したい、っていう気持ちは伝わるので。

 

怖いのは、傾聴スタイルのみのカウンセリング(A:論理的に物を考える大脳新皮質B:感情を認識する大脳辺縁系を行ったり来たり・・)。

 

「とても辛い気持ちは分かります。その気持ちの奥にあることを一緒に考えてみましょう」とか。

 

ぎゃー、やめてー。

どんどん辛くなっちゃうよ・・。

 

そんなこと言ってる前に、C:身体感覚や生理的な機能を司る脳幹~内臓に働きかけてあげる心理療法をしてあげて~。

 

っていうことをブログ記事『辛くないカウンセリング②』で書きました。

 

これが、辛いカウンセリングその1。

 

 

 

次、辛いカウンセリングその2。

 

例えば、パワハラなど職場の人間関係で困って、どこかのカウンセリングを受けたとします。

 

すると、カウンセラーからは何故かこう言われます。

 

「あなたが傷ついたことはよく分かりました。ですが、その傷付きの根本はもっと根深いのです。あなたの小さい頃の傷つきが今の傷付きを作っているんですよ」

 

うーん・・そうかも知れません。

でも、そうじゃないかも知れません。

 

大切なのは、カウンセラーがまずはそこを見極めること。

 

これは実際に、私が直接ご本人から教えてもらった話。

 

仕事が上手くいってないという相談だったのに、5回セット(1回20,000円くらい)の

ピプノセラピー(催眠療法)で、過去の自分に会いに行って、それを癒やすことを勧められる。

 

ご本人は、何かよく分からないままに、カウンセラーに勧められて、そうなのかなーって思って。

 

・・で、良くならないですよね。

 

当オフィスでお話を伺ったところ、完全に会社の労務管理上の問題でした。

 

要は、事業主は、労働安全衛生法に則り、労働者が健康・安全に働くことができるよう

安全配慮義務を果たす必要があり、その代わり労働者は自己保健義務という自己管理を

していく必要があります。

 

上司のパワハラが安全配慮義務に反するものであれば、これは法律違反です。

 

それを放置したままのケアなんて、あり得ないですし、まずその状況・環境を改善する

働きかけが必要です。

 

具体的には、社内のハラスメント相談窓口があるか、労働組合は機能しているか、

職場の担当産業医・保健師など医療職からのサポートは得られるか、別の信頼出来る

上司との連携は出来るか、必要に応じた医療機関の受診は出来ているか、家族の

協力は得られるか、などご本人の状況・環境を改善するためのアドバイスをしたり、

新たな可能性を検討したりします。

 

こういう場合のカウンセリングは1回で終了です。

数回かけて○○セラピーをする必要はありません。

 (ただし、状況・環境を変えた上で、心理的なダメージが消えず残っていたら、

それは心理療法によるケアの対象になりますので。)

 

もう一つ、実例。

 

発達障害や双極性障害(最近の流行の概念としてはHSPも?)など、いわゆる器質的(元々の体質的)な課題がある場合、

ここそのものは心理療法の対象にはなりません。

 

でも、そうした状態の上で、傷ついたり、不安になったり、そういう側面をサポートする。

また、身に付けていった方がよいスキルや情報を提供する。

 

そういうことはカウンセリングがお役に立てるところです。

 

状態を見立てる力がトンチンカンなカウンセラーに当たってしまうと、

ご本人は発達障害っぽさで苦労しているのに、催眠療法やろうとしたり、傾聴しちゃったりする。

 

方向性間違ってるのにガンガン進めちゃって、良くならない挙げ句の果てに、カウンセラーから「良くならないのは、あなたが甘えているからだ」とか「本心で良くなろうと思ってないからです」とか言われる。

 

これもキツいですよね。

 

臨床経験として、医療現場を経ていないとこういう事が起こりやすいです(もちろん、

医療現場の経験がなくても、勉強をしっかりしていれば大丈夫なんですが)。

 

この2つの例で見えてくるのは、○○セラピーの押しつけ。

それが的に当たっていれば、いいんです。

 

的に当たってさえすれば、改善していきます。

 

自分のこと、正しく把握してもらえていないなと感じたら、それをちゃんと伝えてみる。

ちゃんとしたカウンセラーなら、それを受け止めて、仕切り直します。

 

思い切って伝えたら、カウンセラーに否定された、怒られた、邪険にされた、とか。

 

論外です・・。

でも、実際にしばしば聞く話なのが、悲しい・・。

 

あとちょっと余談ですが、的に当たっているのに、なかなか変化しない、ということは

実際には起きます。

 

これは、自分に対する否定的なイメージ(自分は駄目、とか自分は価値がない、とか)を、

幼い頃から刷り込まれてきていると起こりえます。

 

治る(直る)ことが自分らしくない、良くなるイメージがそもそも湧かない、など

言われたりします。

 

この点は、ブログ記事『何でまた繰り返してしまうだろう?』で書いてますので、ご参考まで。

 

 

さてさて、辛いカウンセリングその3。

 

カウンセラー(臨床家)の力量が最も試されるのが、これ。

 

自分としても、努力はしていますが、100%ちゃんと出来ているとは言い切れません。

でも、とても大事。すごく大事。

 

結論から書きます。

 

心理療法(セラピー)の詰め込みすぎ。

 

辛い状態にいる方の早く改善したいという思い。

お金をあまりかけられないし、時間もないしという人も少なくありません。

 

だから、善意でカウンセラーがやり過ぎてしまう。

 

比較的メンタルの健康度が高いけれども、想定外のことが起きてカウンセリングに来てみた、

とかそういう場合は、あまり心配はなくて。

 

こういう方の場合、カウンセリングで感情が揺れることがあっても、その後しばらくすれば落ち着いてきます。

 

でも、例えば辛い生育歴があって、『安全・安心』であるはずの親が『危険』を与えてくる存在

だった場合、心理療法(セラピー)で、大きな『安全・安心』に導くことは、同時に『危険』も

想起させることになります。

(例えば、ギューッと抱きしめてくれていた親が、急に切れて暴力振るう。これが続いたら、子どもはどうなっていくでしょうか・・)

 

気持ちがぐわんぐわん揺れてしまいます。

 

引いては、調子が悪くなったり、カウンセラーが怖くなったり(実際に怖いわけではなく、

怖い存在として感じてしまう、という感じです)、不安定になったりします。

 

じゃあ、どうするか。

 

ちょっとずつ、作るんです。『安全・安心』を。

 

脳や自律神経系、ホルモン系、免疫系など、上で書いたC:身体感覚や生理的な機能を司る脳幹~内臓の部分がびっくりしないような速度で、スポイトで水を一滴一滴垂らしていくように、微妙な具合でカウンセリングを進めていく。

 

すると、その人の心の強さが徐々に育ってきます。

人によっては、年単位がかかります。

長いでしょうか・・。

 

でも、始めなければ、何も変りません。

むしろ放っておくと、悪い循環が続くので、悪化していく一方なこともあります。

 

カウンセラーの本当の力量は、ここで試されます。

自分も時につまづきます。そして、凄く反省します。

 

「あー、やり過ぎた」「聴きすぎた」「伝えすぎた」

 

・・・。

 

自分の中で上手くいかなかったなーと、今でも思うカウンセリングを振り返ると、心が折れそうになります。

 

カウンセラーだって凹むんですよ。

当たり前か(笑)。

 

 

だから更に学びます。二度と繰り返さないために。

 

辛いカウンセリングその1は、知識を学べばクリアできます。

辛いカウンセリングその2は、経験を積んで、心理療法を学べばクリアできます。

 

でも、辛いカウンセリングその3は、カウンセリング業界の現時点のレベルでは対応

できていません(体系的に教えられる人がいない)。

 

なので、それぞれのカウンセラー(臨床家)が、創意工夫で対処しようとしているという

状況だと思います。

というか、その3への問題意識があるだけで、まだ良い方かなという気もします・・。

 

心葉のカウンセリングは、ここを突破したい、と思っています。
 

いつゴールが見えるのか、今は分かりません。

登ろうとしているのは、途方もない山なのかもしれません。

 

でもね、その先があることを知っちゃったから。

そこにたどり着けば、助かる人が沢山いることも知っちゃったから。

 

辛い思いをして来られた方が、更に辛い思いをすることがないように・・。

 

何か未開の地に足を踏み入れる探検家のような気分(笑)。

 

真摯に、でもワクワクしながら、そこを目指していきます!

 

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コメント: 3
  • #1

    WM (金曜日, 26 6月 2020 20:10)

    初めてコメントさせてもらいます。

    これまでの辛くないカウンセリングシリーズ、それを読むだけでもけっこう安心するので
    時々読み返していて、今回③が出たので、またじっくり読ませてもらいました。

    わたしには少し難しい部分もありましたが、先生の
    「相談に来た人に、これ以上辛い思いをさせない」という真摯な思いがすごく伝わってきて、
    やっぱり心葉はすばらしいカウンセリングオフィスだなと思いました。

    周りにもし困っている人がいたら、やっぱりぜひ勧めたいと思います。

    先生に会えたこと、心葉にたどり着けたこと、本当にありがたいです。

  • #2

    おまつりきんぎょ (月曜日, 29 6月 2020 13:38)

    友達にバーって辛いことを話した時って、その時はスッキリして元気になるんですが、あとからどっと重くなることがあります。

    苦しいのを勇気を出して周りの人に話したのに、理論とか正論で返ってきたとき、すごく虚しくなります。

    先生のカウンセリングは、逆に、終わった後とても軽くなります。
    虚しさもなくて、ちゃんと受け止めてもらった感じがします。

    ブログの通りだと思いました!


  • #3

    なんくるないさ (土曜日, 04 7月 2020 21:31)

    コロナの影響を受け、心が不安定なこと1ヶ月。
    調べていたら、こちらのブログに辿り着きました。
    凄く納得できる内容でした。
    今、Cの状態なのでA、Bの対応をされたらイライラしたりグッタリしたりしてしまいます。
    誰かに話を聞いて同意して欲しい。同調して欲しいという気持ちです。

    きっと、先生とお話ししたら気持ちが軽やかになるんだろうなと想像できました。